災害時の非常用トイレ ~ 地震でトイレが壊れたらどうするの? ~ Part.2
非常用トイレってどんなトイレなの?
おひさしぶりです!Polkoです🐷
今日は先日の非常用トイレについての続きです。
非常用のトイレはどのような種類があるのでしょうか?
非常用トイレは大きく分けて4つあります。
1. 便座用袋トイレ
まず最初に「便座用袋トイレ」です。
これは既存の洋式トイレに袋を被せて使うタイプです。
(写真)内閣府「避難所におけるトイレ
の確保・管理ガイドライン」より引用
● 手順
①便座にカバーと取り付け
②カバーの上に排泄袋を被せて
③便座を下ろし
④排泄を済ませ
⑤凝固剤で固めて
⑥排泄袋をしばり
⑦処理袋へ入れ数回分をまとめて
⑧回収できるようになれば処分
● メリット
1.既存のトイレにすばやく設置できる
2.水なしで使用できる
3.1回ごと使い切りで衛生的
4.トイレがある場所ならどこでも使用できる
(※洋式トイレ限定)
5.価格が安価
6.コンパクトで置き場にも困らない
● デメリット
1.洋式トイレ限定のものが多い
2.排泄袋をまとめた処理袋の保管場所に困る?
2. 簡易トイレ
次は簡易トイレです。
簡易トイレは設置方法によって大きく2つに分けられます。
1つはポータブル式、もう一つは組み立て式です。組立式は素材が段ボール紙製のものとプラスチック製のものがあります。それぞれにメリット・デメリットがありますので見ていきましょう!
● 仕様
<ポータブル式>
(写真)内閣府「避難所におけるトイレ
の確保・管理ガイドライン」より引用
・主に介護現場で使用される室内設置型のもの
・便器の中に直接排泄するタイプと処理袋を被せるタイプがある
<組み立て式>
(写真)内閣府「避難所におけるトイレ
の確保・管理ガイドライン」より引用
・必要な時に組み立てて使用
・使わない時はたたんでしまっておける
・便座に処理袋を被せて使う
・排泄毎に処理袋を括って処分する
● メリット
1.個室があればすぐに使用できる
2.水なしで使用できる
3.1回ごと使い切りで衛生的(※組立式の場合)
4.1台当たりの価格が比較的安価
5.持ち運びや収納に便利(※組立式)
6.水洗い可能で衛生的(※プラスチック製組立式)
● デメリット
1.使用しない時の置き場(※ポータブル式の場合)
2.排泄物の臭い(※ポータブル式)
3.排泄袋をまとめた処理袋の保管場所(※組立式の場合)
4.水洗いができない(※段ボール紙製組立式)
5.パーテションなどの仕切りが必要
3. 仮設トイレ
3つ目は皆さんよくご存じの仮設トイレです。
工事現場やイベント会場などに設置されているもので、和式便座ものがほとんどで、排泄物の処理は汲み取り式になります。
(写真)内閣府「避難所におけるトイレ
の確保・管理ガイドライン」より引用
● 仕様
・ドア付きの個室タイプ
・便座の種類はほとんどが和式
・ぼっとん式と水洗式のものがある
・排泄物の処理は汲み取り式
● メリット
1.照明・手洗い・水洗機能つきのがあり安全かつ衛生的
2.鍵付きのため安心
3.強化プラスチック製のため高耐久性
4.ユニット式のため、軽トラックなどでも持ち運び可能
● デメリット
1.汲み取り式のため容量に限度がある
2.排泄物の臭い
3.災害時に使用する場合には汲み取りが間に合わない場合がある
4.手配に時間がかかる
5.常時備蓄が難しい
6.価格が高額である
4. マンホールトイレ
下水道のマンホール上に設置できるトイレです。
蓋を取り外して、その上に専用のトイレを置いて使用します。
(写真)Wikipedia「マンホールトイレ」
より引用
● 仕様
・カーテン付きの個室タイプ
・便座の種類はほとんどが洋式
・ぼっとん式と水洗式のものがある
・排泄物の処理はそのまま下水道へ
● メリット
1.照明・手洗い・水洗機能つきのがあり安全かつ衛生的
2.鍵付きのため安心
3.広いスペースのものであれば高齢者や要介護者などの使用も可能
4.組み立て式なので備蓄にも向いている
● デメリット
1.設置のための広いスペースが必要
2.そもそも下水道がないと使えない
3.災害時に下水道が破損している場合も使用不可
4.設置に時間がかかる
5.価格が高額である
どの種類の非常用トイレを選べばいいのか?
さて4つの非常用トイレを見てきましたが、結局自宅に備えておく非常用トイレはどれがいいの?ってなりますよね(笑)仮設トイレやマンホールトイレは価格的にも大きさ的にも個人の家庭で備蓄しておくには難しいと思います。
やはり自宅用に備えておくのであれば
『便座用袋トイレ』
『簡易トイレ』
がよいかと思います。
その場合、家族の人数×必要日数分を最低でも備蓄しておくことをオススメします。
便座用袋トイレ はどれくらい用意する?!
内閣府が東日本大震災後の平成28年に示した「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」によれば、人は1日平均5回トイレを使用するとのことです。また被災後のトイレの復旧や仮設トイレの設置には平均で5~7日かかると言われていますので、必要分は
『1日5回×家族人数×5~7日』
になります。
オススメの 便座用袋トイレ はどれ?!
Amazonや楽天市場などのネットショップで「簡易トイレ」を検索してみると、たくさんの種類をメーカーがあり、どれを購入したらよいのか迷われるのではないでしょうか?
各メーカーともに「日本製」「15年保存」「防災士監修」などたくさんのアピールポイントを謳っていますが、実は商品説明にはほとんど書かれていない(というよりは製品の仕様上その機能を備えていないため書くことができない)『重要なポイント』があります。
これを見逃すと購入後やいざというときの使用時に大変困ることになりかねませんので、この『重要ポイント』をぜひ覚えておいてください。
それでは最低でもクリアするポイントと一緒に説明していきますね!
<最低でもクリアするポイント>
① 日本製 ・・・ 文字通り日本国内で製造しているということですが、実は「製品の内容物が全てが日本製」と「凝固剤のみが日本製」に分かれています。安全かつ安心して使用するために前者の全てが日本製を選んでください。
② 15年保存 ・・・ 凝固剤の使用期限が製造日から「15年」と「10年」のものがあります。当然「15年」保存の方が同じ価格であればコスパが良いので、迷わず「15年」保存を選びましょう! ※製品外装(外箱)に記載されている使用期限(20〇〇年〇月迄)についても必ず確認しておいてください。
③ 2種類の袋 ・・・ 付属の袋には「排便袋」とそれをまとめる「処理袋」があります。製品によっては「排便袋」のみのものもありますので、必ず「処理袋」が同梱されているものを選びましょう!
④ セット商品 ・・・ 商品には「凝固剤」のみのものがあります。これのみだと追加で2種類の袋を購入しなければならなくなるので、必ず「凝固剤」と2種類の袋(排便袋と処理袋)のセットになったものを選びましょう!
<重要ポイント>
①「凝固剤」で重要なのは成分に 脱臭剤 と 殺菌剤 の両方が入っていることです。脱臭剤についてはほとんどのメーカーが採用していますが、殺菌剤については採用しているメーカーほとんどないようです。これはおそらくコストとの関係で不採用になっているのではないかと思います。また殺菌(除菌)ではなく抗菌を謳っているものも中にはありますが、これは単にいま以上に菌を増殖させないようにするもので決して菌やウイルスを消滅させるものではないことに注意が必要です。大腸菌などを確実に減らすことできる殺菌剤の入っている凝固剤を採用しているメーカーの商品をオススメします!
② 次も「凝固剤」についてですが、パッケージ(包装)にアルミ材を採用しているかどうかも重要です。実は同じ15年使用期限の「凝固剤」でもパッケージが通常の透明フィルム(OPP)袋かアルミ材を使用した袋かによって外からの気体透過率(ガスバリア性)が異なります。ガスバリア性の高いアルミ材パッケージの「凝固剤」を採用した商品がおススメです!※また透明フィルム(OPP)袋は経年劣化しますので、初期の性能を維持できない可能性があります。
③ 次も「凝固剤」についてです。「凝固剤」はメーカーにより凝固スピードと完全に凝固するかどうかが異なります。「凝固剤」は凝固剤自体の内容量によって吸収できる水分(尿)の量も異なります。一般成人の平均排尿量が300~400mlですので、余裕をもって500ml以上を吸収可能なことを表示している製品をオススメします。また凝固するスピードは臭いを閉じ込めるためにとても重要です。スピードに関しても検証結果をしっかり表示している製品を選びましょう!凝固スピードの目安は約10数~20秒以内です。それ以上になると臭いが放出される場合が多くなります。あと凝固状態の持続期間や脱臭期間をしっかり表示している製品を選びたいですね!
④ さて次は「排便袋」についてです。「 排便袋 」は全てのメーカーが黒色で中身がみえにくいようになっています。ただ気をつけないといけないのは同じ黒色の袋でも厚みが違うということです。袋の厚みを表示していない製品のほとんどが薄目の0.015mm厚です。これは中身も透けて見える場合がありますし、破れやすいです。購入される場合は厚目の0.03mm厚のしっかりとした袋を採用している製品を選ぶようにしてください!またメーカーによっては「便座カバー袋」 が付属している親切な製品もありますので、是非チェックしてみてください。
いかがだったでしょうか?
最低クリアポイント4点と重要ポイント4点についてはお分かりいただけたでしょうか?
その他に各メーカーで細かな違いはあるものの上記の点を押さえれもらえれば、「便座用袋トイレ」を選らばれるときに失敗することが少なくなると思います。
筆者が選ぶオススメ「便座用袋トイレ」5選!!
最低クリアポイント4点と重要ポイント4点をもとに筆者が選んだオススメ製品5選です。
各製品ごとにオススメポイントを◎×採点で簡単に解説しています。
商品画像と購入先リンクも一緒に添付しておきますので、是非参考になさってください。
第1位 : 緊急対策用トイレ袋 ベンリー袋 防臭袋プラス
堂々の第1位は、㈱ケンユーが製造販売している「緊急対策用トイレ袋 ベンリー袋 防臭袋プラス」です!
(写真) Amazonより引用
防災アイテム業界では知らない者がいないほど有名な老舗メーカーです。
この商品の特徴は何といっても実際の震災で使われた実績があることです!!
1995年の阪神淡路大震災の経験をもとに商品を開発し、2011年の東日本大震災では被災地の多くの避難所で使われました。
※上記は50回用です。
<ココが ◎ なポイント!>
1. 最低クリアポイントはもちろんのこと重要ポイントの全てを満たしている。
2. 実際の被災現場での使用実績が多数あり。
3. 凝固剤に食品添加用の殺菌剤をプラスして菌を確実に除菌。
4. 2種類の袋とは別に「便座カバー袋」が付属。便器の汚水が排便袋に付かないので衛生的。
5. 凝固剤の性能(凝固性・脱臭性)を公的機関が証明。※客観的数値で表示されている。
6. 3回・5回・10回・30回・50回・100回・400回分と種類も非常に豊富。
<ココが × なポイント!>
1. 他社製品に比べて価格が高い。
2. 梱包サイズが大きめ。
第2位 :非常用トイレ トイレ119
第2位は、「非常用トイレ トイレ119」です。
(写真) Amazonより引用
こちらの製品は携帯シュレットやポケットテッシュなどの付属品が豊富についており、痒いところに手が届く仕様になっているのが推しのポイントです。クラフト地に黒赤字のシンプルなデザインで自宅の部屋に置いていてもあまり気にならないのも特徴です。
※上記は50回用です。
<ココが ◎ なポイント!>
1. 最低クリアポイントと重要ポイントをほぼ満たしている。
2. 日本防災機構認定の防災士が監修。
3. 凝固剤の性能を具体的数値で表示。
4. 携帯ウォシュレットやポケットテッシュ・防災ブックなど付属品が豊富。
5. A4サイズでデザインがシンプル。※自宅の部屋に置いても気にならない。
6. 携帯ウォシュレット付きは50回・100回分、通常タイプは30回・50回・80回・100回分とバリエーションも豊富。
7. 安心の1年保証。
<ココが × なポイント!>
1. 殺菌剤の表記がない。
2. 排便袋の厚さ0.03mmの表記がない。
第3位 : 非常用トイレ トイレの女神 PREMIUM
第3位は、「非常用トイレ トイレの女神 PREMIUM」です。
(写真) Amazonより引用
2021年にクラウドファンディングで注目を集めた製品です。目標額100,000円の60倍以上の金額が集まり製品化されました。後発メーカーですが他社の製品をよく研究して作られていると思います。
※上記は50回用です。
<ココが ◎ なポイント!>
1. 最低クリアポイントと重要ポイントをほぼ満たしている。
2. 日本防災機構認定の防災士が監修。
3. 凝固剤の性能を具体的数値で表示。
4. 防災用ガイドブック付録。※心得として大事。
5. 梱包がコンパクト。A4サイズで収納場所にも困らない。
6. 30回・50回・80回・100回・120回・150回分と種類も豊富。
7. 安心の1年保証。
<ココが × なポイント!>
1. 殺菌剤の表記がない。
2. 他社にはある付属品が少ない。※便座カバー袋やビニール手袋・ポケットティッシュなど
第4位 : 非常用トイレ MOSHIMO HACK
第4位は黄色と黒が特徴の「非常用トイレ MOSHIMO HACK」。
(写真) Amazonより引用
こちらは2022年に起業された新興メーカーの製品ですが、とにかく「シンプル イズ ザ ベスト」の商品です。後発メーカーらしく高品質を保ちながら50回分1種類のみに特化してコストカットを実現しています。
※上記は50回用です。
<ココが ◎ なポイント!>
1. 最低クリアポイントを満たしている。
2. 防災士と災害備蓄管理士災士の資格を持った社長が開発。
3. デザインがシンプル。※自宅の部屋に置いても気にならない。
4. 拭き取り時に使えるポケットテッシュが付属。
5. 50回分1種類のみに限定することで徹底したコストカット。
6. 安価な価格設定。
<ココが × なポイント!>
1. 製品の種類が少ない。
2. 殺菌剤の表記がない。凝固スピードの表記がない。
第5位 :Qbit いつでも簡単トイレ
第5位は歌う防災士で有名な柳原志保さんとメーカーが共同開発した「Qbit いつでも簡単トイレ」。
(写真) Amazonより引用
柳原志保さんは、東日本大震災で被災し移住先の熊本で再度地震で被災された大変なご経験を持たれる防災士です。避難所や自宅での避難生活に必要なものを講演やご自身のブログやYouTubeなどのSNSを通じて広く発信し続けてくれています。
※上記は50回用です。
<ココが ◎ なポイント!>
1. メーカーが被災経験がある防災士と共同開発している。
2. 2種類の袋とは別に「便座カバー袋」が付属。便器の汚水が排便袋に付かないので衛生的。
3. 梱包がコンパクト。A4サイズで収納場所にも困らない。
4. 拭き取り時や清掃時に使えるビニール手袋が付属。
5. 10回・30回・50回・100回分と種類も豊富。
6. 安心の1年保証。
<ココが × なポイント!>
1. 内容物の一部が海外製。
2. 処理袋(防臭袋)の数が少ない。※他社は排便袋5~10枚につき処理袋1枚の割合。
3. 殺菌剤の表記がない。凝固スピードの表記がない。
簡易トイレ袋のまとめ
以上5点が私がオススメする「便座用トイレ袋」でした。
よかったらご参考になさってみてください。
次回は「簡易トイレ」についてのお話ししてみたいと思います! 🚻
(Part.3 へ続く・・)
※注意
1.上記の製品についての評価基準は筆者個人的なものです。製品の絶対的評価ではありませんのでご了承ください。
2.あくまで商品のネット販売ページ情報をもとに、そこに表示されている内容から判断しております。
3.記事内容に間違いや表現不足などがありましたら、お問い合わせ欄よりコメントください。改めて精査させていただきます。
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