台風以外でも怖い風水害

　
　こんにちは！ 防災士＆災害備蓄管理士の Polkoです🐷
今日の防災豆知識は、台風以外が原因で起きる風水害についてです。
風水害といえば「台風」というイメージがありますが、台風以外にも風水害を起こす原因となるものがあります。
今回はその原因と具体的事例を見ていきましょう！

※写真はイメージです。
　
　

_{1. 過去10年間の風水害}

　
　過去10年間に起こった台風以外が原因の風水害は以下の通りになります。
　
1. 広島土砂災害（2014年8月） …　前線に向かって暖かい空気が流れ込み中国地方・九州北部で記録的大雨となった。被害は死者76人・負傷者68人・被災家屋4,769棟。
　
2. 関東東北豪雨（2015年9月） …　台風より変化した低気圧に向かって暖かい空気が流れ込み関東・東北地方で記録的大雨となった。被害は死者8人・負傷者80人・被災家屋19,723棟。
　
3. 九州北部（福岡・大分）豪雨（2017年7月） …　台風通過後の梅雨前線に向かって暖かい空気が流れ込み九州北部で記録的大雨となった。被害は死者42人・負傷者34人・被災家屋2,009棟。
　
4. 西日本豪雨（2018年7月） …　台風通過後の前線に向かって暖かい空気が長期間流れ込み西日本を中心に全国で記録的大雨となった。特に岡山県・愛媛県で被害が甚大。被害は死者237人・負傷者433人・被災家屋21,296棟。
　
5. 九州北部（福岡・佐賀・長崎）豪雨（2019年8月） …　前線と湿った空気の影響で九州北部を中心に記録的大雨となった。被害は死者4人・負傷者2人・被災家屋4,739棟。
　
6. 令和2年7月（熊本）豪雨（2020年7月） …　梅雨前線の影響で全国で記録的大雨となり中四国・九州地方（特に熊本）の被害が甚大。被害は死者84人・負傷者77人・被災家屋16,599棟。
　
7. 伊豆山土砂災害（2021年7月） …　梅雨前線の停滞で線状降水帯が発生し東海地方で記録的大雨となった。伊豆半島の被害が甚大。被害は死者26人・負傷者11人・被災家屋3,626棟。
　
8. 令和3年8月豪雨（2021年8月） …　前線の停滞で線状降水帯が次々に発生し西日本～東日本の広い範囲で記録的大雨となった。被害は死者13人・負傷者17人・被災家屋8,209棟。
　
9. 令和4年8月豪雨（2022年8月） …　低気圧に伴う前線と高気圧との境界に湿った空気が流れ込み全国的に大雨となった。被害は死者2人・負傷者12人・被災家屋7,042棟。
　
10. 令和5年7月豪雨（2023年7月） …　発達した梅雨前線の影響で中国地方西部・九州北部・富山県で線状降水帯による豪雨が発生。被害は死者13人・負傷者28人・被災家屋3,082棟。
　
※内閣府 防災情報ページ「みんなで減災」より引用

_{2. 前線の影響が大きい}

　
　上記の被害状況や原因からも分かるように時期は7～8月に集中しており、これは前線に向かって暖かく湿った空気が南から流れ込む状態が発生しやすい時期のためです。「前線」とは暖かい空気のかたまり（暖気団）と冷たい空気のかたまり（寒気団）が交わる境目のことです。それぞれの気団は季節などにより強弱が発生しますが、暖気団が強い場合は「温暖前線」となり、寒気団が強い場合は「寒冷前線」となります。また両方の気団が強さの場合は「停滞前線」となって前線が一か所に長く留まることがあります。→※梅雨前線など
　

_{3. 注意しなければいけない前線の配置}

　
　日本列島南部に停滞していた梅雨前線が6月下旬～7月上旬にかけて小笠原暖気団（太平洋高気圧の一部）に押されて北上していきます。このとき南から湿った暖かい空気が前線に向かって大量に流れ込み大雨を降らせます。梅雨前線の弱まる上記の時期は特に注意が必要です。またこの時期に日本列島に近づいてくる台風は太平洋高気圧と前線の間を通過していくため、台風に伴なわれた大量の暖かい湿った空気が流れ込んで台風通過後も大量の雨を降らせる原因にもなります。
　
　皆さんも7月～8月にかけては特に前線と高気圧の配置や動きに注意して、日頃から気象情報を確認していただくようお願いいたします。また万が一の時に備えて、避難場所や避難経路をお住まいの地域の自治体に確認しておいてください。
　
※内閣府 防災情報ページ「みんなで減災」の災害情報
https://www.bousai.go.jp/updates/index.html/