風水害が最も多い「台風」

　
　こんにちは！ 防災士＆災害備蓄管理士の Polkoです🐷
今日の防災豆知識は、皆さんがよくご存じの「台風」についてです。
日本列島に一番風水害をもたらすと言われている台風とはいったいどのようなものでしょうか？
　

_{1. 台風とは？}

　
　赤道付近の熱帯地域の海上で発生した「熱帯低気圧」のうち、勢力が徐々に発達して中心付近の平均風速が17.2m/s（風力8）以上になったものを「台風」と呼んでいます。台風という呼称は東経180度以西に発生したもののうち、太平洋北西地域にあるものを指します。

※熱帯低気圧とは、温かい湿った空気を含む低気圧で前線のないものを指します。

　同じ東経180度以西でもインド洋や南太平洋にあるものは「サイクロン」と呼ばれ区別されていますが、これは地域的な呼び名としての意味合いが強く、性質的には台風とほぼ同じものです。

　また同じ性質を持つ熱帯低気圧のうち、西経180度以東の北大西洋や北大西洋東部で発生したものは「ハリケーン」と呼ばれています。

※注）世界気象機関（WMO）は平均風速32.7m/s（風力12）以上のものを指して特に「サイクロン」「ハリケーン」と呼んでいます。「台風」の場合は平均風速が17m/s以上であれば全て台風と呼ばれています。

_{2. 台風発生のメカニズム}

　
　「台風は1年中発生しています！」と聞くと、皆さんは驚かれるかもしれませんね。私も初めて聞いた時には大変驚いたのを覚えています。
　実は台風の前身である熱帯低気圧の発生には、26.5℃以上の海水が必要と言われています。海水温が26.5℃以上の地域（赤道付近）では熱帯低気圧が常に発生しており、これが発達して台風になります。
　

《台風発生のメカニズム》

1. 水温の高い海水（26.5℃以上）が蒸発して水蒸気が発生する
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2. 水蒸気をたくさん含んだ空気（暖かく湿った空気）が集まって上昇気流を生み積乱雲が発生する
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3. 積乱雲の中心に向かって周りからさらに暖かく湿った空気が流れ込む（＝さらに強い上昇気流が発生）
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4. 中心に流れ込む空気がコリオリの力により北半球では反時計回りの渦巻きを発生させる（この時点で熱帯低気圧になる）
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5. 中心付近の平均風速が17.2m/s（風力８）以上になると「台風」と呼ばれる

　
上記のような過程をたどって台風となりますが、では積乱雲に渦巻きを発生させる「コリオリの力」とはどんなものなのでしょうか？
　

_{3. コリオリの力}

　
　コリオリの力とは、自転している地球上では物質の移動する力には横方向に力がかかるという法則です。
※実際には下の図のように
1. 北半球では北に向いて吹く風の流れは右方向へ力を受け、南に向いて吹く風は左方向に力を受けます。
2. 南半球では北半球と真逆の方向に力を受けます。
ですので、北半球に向かってくる台風は反時計回りの渦巻きになり、南半球に向かう台風は時計回りの渦巻きになるのです。

　

※風向きのイメージ図（コリオリの力）
　

_{4. 日本列島に来る台風はなぜ秋が多いのか？}

　
　それでは1年中台風が発生しているのなら、なぜ日本に来る台風は秋が多いのでしょうか？これは日本列島を取り巻く気候の変化によるものです。
　　

　台風は赤道付近から北上するときに、太平洋高気圧を避けるように通過していきますが、初夏は太平洋高気圧の勢力が強く日本列島をすっぽり覆うため、まっすぐ北上することができず、西向きに逸れてインドシナ半島の方へ抜けていくルートを取ります。
　夏の終わりから秋になると太平洋高気圧の勢力が弱まるため、日本列島は太平洋高気圧の勢力から外れてしまいます。このため台風は日本列島付近を北上していくため上陸しやすくなります。

　さらに秋には大陸からの偏西風が強まるため、台風は偏西風の影響を受けて一層風が強まっていきます。以上のようなことから、秋は日本列島に台風が上陸しやすく勢力が強い＝災害が発生しやすいと言えます。

　次回は台風の大きさや強さについて具体的に説明していきたいと思います(^^)
　

※気象庁ホームページ「台風について」の各項目でより詳しく紹介されています。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/index.html/